こんにちはネルです!
今回は「史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち」という本の紹介を兼ねて、ポイントまとめをしていきます。
この本は、東洋哲学をどの本よりもわかりやすく解説した本です!
(読了時間は約4時間と、大作でした!)
表紙の絵を見ていただくと気づくかもしれませんが、著者の飲茶さんは、漫画「グラップラー刃牙」の大ファンです。
そして、文章も少し刃牙のような雰囲気があるといいますか、いわゆる若者言葉で書かれている箇所が多いため、年代の若い人にこそオススメの本です。
ただ、もちろん内容が薄いなんてことは全く無く、哲学の考え方の難しさや真理を追い求めた偉大な哲学者達のやり取りにじっくりと触れることができます。
そのため、哲学初心者だけではなく哲学に詳しい人にもぜひ読んでほしい本です!
- 「哲学って実際のところどんなものか改めて学びたい」
- 「一通り哲学を学んできたため、それらの知識を関連して結びつけたい」
- 「西洋哲学・東洋哲学の違いを分析したい」
それではポイントを簡単にまとめていきます!
【目次】
東洋哲学は“ゴールから”始まる
この本の序盤で、西洋哲学と東洋哲学の違いがはっきりと述べられています。
要約すると、
- 西洋哲学者→「真理」とは何か誰も知らない。「真理を知るために考え続ける」。
- 東洋哲学者→「真理」に到達した師匠がいる。その弟子たちが、師匠の教えである「真理を様々に解釈」していく
という構図となります。
つまり、西洋哲学は「真理を知るためのモノ」である一方で、東洋哲学は「真理に到達した人の考えをわかりやすく伝えるモノ」というイメージです。
地理的な違いだけではなく、西洋と東洋の哲学では根本的な立場が違うということなんですね。
西洋哲学を詳しく知りたい方へ
著者の本「史上最強の哲学入門 (西洋哲学ver.)」を読むと、この部分の理解がよりスムーズにいくと思いまます。
この赤い本が西洋哲学について、そして今回取り上げている青い本が東洋哲学についてです。
「ソクラテス」や「ニーチェ」などよく聞く有名な哲学を深く理解したいという方は、この赤い本である西洋哲学版がおすすめです!
ここまでで、「西洋哲学と東洋哲学とでは根本的な立場が違う」という点をご紹介しました。
この点を意識していると、東洋哲学に対する理解が早いかと思います!
大乗仏教と小乗仏教は、柔軟派と厳格派という違い
仏教組織は真っ二つに割れてしまう。
「今までは戒律でダメだとされてきたけど、守るの大変だし、やってもいいよ」と認めるフランクなグループは多人数であったので 大衆部と呼ばれ、一方「いやいや戒律なんだから、こんなの許されないよ」と認めない厳格なグループは少人数で長老(上座)が多かったので 上座部 と呼ばれた。
その後、大衆部は自らを 大乗(大きな乗り物)仏教 と名のり、上座部を小乗(小さな乗り物)仏教 だと馬鹿にするようになる。
(本文引用)
仏教の歴史について、とてもわかりやすく解説がされていた箇所です。
釈迦が亡くなって約100年後、「釈迦」の教えを弟子たちが書物としてまとめ、後世に引き継ごうと動き出します。
その際に、以下の2グループに意見が別れました。
- ルールが厳しすぎるので、多少ルールを破っても問題はないことにしよう
- ルールはルール。釈迦が決めた教えを厳格に守ろう
このように釈迦の教えに対する解釈として①「柔軟派」と②「厳格派」に別れ、それぞれを「大衆部」、「上座部」と呼ぶようになりました。
多数派であったからこそ、「大きい」という字を使って「大衆部」と呼ぶんですね。
多数派の大衆部は、少数派の上座部を下に見るようになった
大衆部の人たちは、多数であることを良いことに、自分たちのグループを大きな乗り物という意味で「大乗」、人数の少ない上座部を、小さな乗り物という意味で「小乗」と名付けたということです。
驚いたことに、「小乗仏教」とは過去に、大衆部が上座部をバカにするためにつけた名前なんですね・・・。
学校の授業の日本史で仏教を学ぶと、「仏教は、上座部と大衆部に別れた。上座部が小乗仏教と呼ばれ、大衆部が大乗仏教とも言われる」など、丸暗記をしていた高校の頃を思い出しました(笑)
丸暗記とは違って、こうした背景を学ぶことで、暗記の効率もその記憶の使いやすさも段違いに高まりますよね。
本文のフランクな文体について
また、今回この箇所を引用したのは、仏教の歴史を知ってほしいという意味以外にも、著者の文章の書き方を少しでも味わってほしかったからなんです!
大衆部と上座部の考え方を「カギ括弧」を使ってフランクな話し言葉で語っている場面。
こうした書き方を著者の飲茶さんはよくされるんです!
難しい文章が多い哲学書とは違い、この本は非常にフランクな文章で書かれいるため、理解がスルスルと進んでいきます!
難しい本場の哲学書にいきなり手を出しても、何を言っているかわからず挫折してしまうか、つらい思いをして無理やり最後まで読み切るという結果になりかねませんよね。
著者の飲茶さん自身が「哲学を楽しんでいる」ことが、読者にも伝わってくる
しかし飲茶さんの本は、「少しでも多くの人に哲学を楽しんでもらおう!」という気持ちで書かれています。
そのため文章がとても易しく、「この哲学者が言っていることって、そういうことだったのか!!」と発見できる箇所がとても多いです。
哲学初心者の方は、この本を読んでみると色々な哲学に対して一気に興味が湧いてくると思いますよ!
ぼくも先ほど紹介した「西洋哲学版」(赤い本)を読んで哲学にハマったことで、この「東洋哲学版」(青い本)もすぐに購入して読み進めました!
今回引用した文章がわかりやすいと感じた方は、この本を特におすすめします!
まとめ
今回は、「史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち」より、簡単にポイントをまとめてきました!
この本が好きな理由のもう1つが、個々の哲学者の理論を繋げて話を進めていることです。
少し詳しく解説しますね。
教科書やよくある小難しい哲学書は、章ごとにそれぞれの有名な哲学者を別個に取り上げ、それぞれの哲学者の功績をただ淡々と語っているものが多いですよね。
その一方で本書では、「哲学者Aの出現→Aの発言は〇〇の理由で誤っている、と主張する哲学者Bの出現→Bの発言は△△の理由で矛盾している、と主張する哲学者Cの出現→・・・」と、理論を繋げてストーリーのように書いているんです。
このストーリーによって、重要なポイントを頭の中でつなぎ合わせながら学ぶことができます。
そうなると、ストーリーとして読んでいて楽しいですし、断片的に覚えようとするよりも遥かに記憶に残りやすいように感じました。
この「ストーリー仕立ての哲学」がぼくがこの本を気に入っている1つのポイントです。
もし友人に哲学書のおすすめを聞かれたら真っ先に飲茶さんの本を胸を張っておすすめしたいと考えているほどです!
ここまでで良い点ばかりを書きましたが、文章はフランクな分「若者言葉」が多いため、年配の方には合わない可能性があるのが難点ですが・・・。
文章が自分にきちんと合えば、非常に勉強になる本ですよ!
ぜひ一度本屋に立ち寄ったときにでも、手にとってみて下さい!
最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました!
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