こんにちはネルです!
今回は、「【多数決の横暴を防ぐ】「オストラシズム」という仕組みについて」というテーマで話をまとめていきます!
参考にした本は、齋藤孝『日本語の技法』です。
- 多数決には「多数派の横暴」というリスクが潜んでいる
- 古代ギリシャでは「オストラシズム」という仕組みでこの横暴を防ごうとした
- しかしこの仕組みでも防ぎきれないのではないか、という疑問も残る
それでは、順番にまとめていきます!
「オストラシズム」とは?
「オストラシズム」とは、古代ギリシャで生まれた言葉で、日本語では「陶片追放」と呼びます。
「選挙によって一定以上の票を獲得すると、当選確実となるのではなく、逆に”追放”される」という仕組みのことなんです。
「え!?選挙で大多数の票を獲得したら、逆にダメってこと・・・!?」と感じるのではないでしょうか。
古代ギリシャでは、この仕組によって「独裁者の排除」を行い、権力をコントロールしようという狙いがあったんです!
多数決の横暴
選挙って言ってしまえば「多数決」で、「誰よりも多くの票を獲得した人が勝つ」というシステムになりますよね。
すると、その政治家がたとえ優秀ではなくても、「誰にでも耳障りの良いこと」を公約に掲げていたり、「自分をサポートしてくれる人が過半数いる」という状況ならば、選挙に勝利することができるわけです。
そして多数決の仕組みが怖いのは、賛同意見が50%を超えてしまったら、少数派の人はそれに抗う手段を失う、ということです。
例)「毎年、女性だけに1,000万円払う」という法律
突然ですが、たとえば日本で「毎年1月に、女性だけに1,000万円払う」という法律が議論されたとします。
そしてこの法律を国民投票にかけ、過半数を獲得したら来年から施行されるとします。
この投票を実際におこなったらどうなるでしょうか。
多少の違いはあるかもしれませんが、女性は賛成に、男性は反対に投票することが簡単に予想されますよね。
そして、日本では女性の方が人口が多いわけです。
すると、こんなあり得ない法律であるにも関わらず、賛成多数で可決、来年から「女性だけ毎年1,000万円もらい続ける」というとんでもない事態となるわけなんです。
これに対し、過半数を取れない男性は為す術なしということになり、従うしかなくなるんですね。
これが、まさに「多数決の横暴」なんです!
オストラシズムにも限界はある
選挙においても、「自分に無条件で賛同してくれる仲間」を過半数獲得さえしてしまえば、たとえどんなめちゃくちゃな政治家でも、永遠に政治家として活動することができるようになります。
そして、こういったことが国全体に起こると「独裁政治」が誕生するわけです。
古代ギリシャは、これを防ぐために「オストラシズム」(陶片追放)という仕組みを作り、圧倒的多数派の横暴を防いだわけなんですね。
システムの裏をかかれる危険も
ただし「この仕組は簡単に破綻してしまうのではないか?」と感じることもあります。
たとえば、自分に賛同してくれる人が90%もいて、このまま全員が自分に票を入れると追放される、という事態となった時、この政治家はどういった行動を取るでしょうか。
私だったら、自分への賛成派に向けて「このまま選挙をおこなえば、私は圧倒的多数の票で追放されてしまう恐れがある。それを避けるために、一部の人は”あえて”反対票を入れてほしい」とお願いをして、追放を回避しようとします。
もともと「この人に当選して欲しい」と思っている人たちの集まりですから、この作戦にも乗ってくれる可能性は高いはずです。
このように、「オストラシズム」の話を聞いた時、「これは画期的なシステム!多数決の横暴を防ぐためにとても良いじゃないか!」と感じましたが、上のようなリスクがあることが気が付きました・・・。
もう少し詳しく調べてみれば、このようなリスクを回避する方法もあるのかもしれませんが、、また調べて記事にまとめられたら良いと思います。
まとめ
今回は、『日本語の技法』より、「【多数決の横暴を防ぐ】「オストラシズム」という仕組みについて」というテーマで話をまとめていきました。
少なくとも言えることは、「多数決は正義」とは必ずしも言えないということ。
- 多数決には「多数派の横暴」というリスクが潜んでいる
- 古代ギリシャでは「オストラシズム」という仕組みでこの横暴を防ごうとした
- しかしこの仕組みでも防ぎきれないのではないか、という疑問も残る
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!