「小説と映画って、ほんとうの意味での違いはなんだろう・・・。」
小説を読んでいたある日、こんな疑問がふと浮かびました。
小説も映画も好きな自分にとって、この疑問へのスッキリした答えを知りたくなり、色々と考えてきました。
もちろん、ここでいう「違い」とは、「映像があるかないか」だけではありません。
その映像のありなしによって、表現方法に一体どんな違いが生まれているかを考えてみたかったのです。
時間をかけて頭の中を整理した結果、「そうか、小説は映像がない分、こういった点で優れているんじゃない・・・?」と気づくポイントがありました。
そこで今回は、そんな「本と映画の違い」とは何なのか、というテーマで話をまとめていきたいと思います!
【目次】
「本」と「映画」の違いとは?
皆さんは、「本」と「映画」の違いについて考えたことはあるでしょうか。
私は、年間に数十冊の小説を読み、そして数十作品もの映画を見る習慣があり、こんな疑問が浮かんできました。
つまり、
「本と映画では、映像の有無によって、どういった違いが生まれているのか?」
とか、
「そもそも、映像の有無以外にも大きな違いがあるのではないか?」
といった疑問です。
少し考えてみてください。あなたはどういった答えが浮かびましたか・・・?
この疑問に対する私が出した答えは何か、結論から言うとそれは、
「登場人物の感情を、詳しく表現しているかどうか」
だと思うんです。
小説の方が登場人物の心情が正確に伝えられる
小説は、「登場人物の心情を、言葉豊かに表現している」ことが大きな魅力だと気づきました。
例をあげると、たとえば、
「彼は炎が燃え盛るような強い感情を覚えた。それは炎というより、”業火”と表現したほうが正確だと言えるほどだった。」
といった文章のことですね・・・!
小説では、”感情表現”に対して比喩が盛んに用いられるため、著者の文章力がとても色濃く出てくるところでもあります。
ただ、「怒る」という感情を1つとっても、「〇〇のような怒り」「~を引き裂かんとする激情」など、その表現方法は無限にあり、そして、微妙な感情の動きも、文章によって細かく味わうことができるんです。
このように、感情の微妙な変化をじっくりと味わうことができるのが小説の醍醐味ではないでしょうか。
映画では、「役者の表情」によって感情を伝える
では、小説と比べて「映画」はどうか。
比喩を用いて感情を細かに表現した小説の場面に対し、それを映画に置き換える時には、「役者の表情」によってしか表現ができないんですね。
表情でしか感情表現ができないことで、一体何が起こるのか。
それは、(基本的には)言葉で表せない以上、「視聴者が受ける印象は人それぞれで異なる」という事態が発生することです。
言い換えると、「役者の表情によって、受け手がその心情を察する必要性が高い」ということでもあります。
文章ではない以上、「誤った捉え方」をする危険が高い
もちろん、役者さんも演技はとても上手で、微妙な感情の変化も、とても上手に表現することはできるでしょう。
ただ、ここで伝えたいのは、「そうであったとしても、文章ほど性格には感情は伝わりづらい」ということ。
それは裏を返すと「場合によっては、登場人物の感情に対して、”誤った捉え方”をしてしまう」危険があるということではないでしょうか。
このように、「感情を正確に受け手に伝えられるかどうか」という点で、「本」と「映画」では大きな違いがあるのではないか、と感じています!
小説で豊かな感情表現に触れることの大切さ
もちろん、これまでの話は「どちらのほうが優れているか」ということでは、決してありません。
「映画と小説の違い」についてじっくりと考えてみた時に、「映像と音声があるかないか」という点以上に、こんな大きな違いがあるという事を知って欲しくて記事にまとめたんです。
一般的には、映画よりも小説を読むほうが、脳の疲労度は高いと感じるのではないでしょうか。
こういった経験から、「小説は読むのに疲れるから、映画しか見ない」という方は多いのではないかと思います。
しかし、今回私が伝えたかったこととしては、時には小説も読んで「豊かな感情表現」に触れて欲しいということなんです!
映画と原作を両方楽しむのもオススメ
「小説のほうが、感情表現が豊かである」という特徴についてお話をしてきました。
特に、「感情表現について考えるためにおすすめの方法」としては、
「映画と原作の両方を楽しむ」
という方法があります!
つまり、気に入った映画があったら、その原作を読んでみる。
それによって、映画だけでは知り得なかった登場人物の “微妙な感情” に驚いたりするなど、同じ物語であるはずなのに違った楽しみ方ができるんです!
私は、過去何度もこの「映画を視聴して、原作を読む」という方法を取り、様々な気づきを得てきました。
- 「え?ここって、そういう意味の感情だったのか!」
- 「あの役者さんは、こんな難しい感情の動きを、かなり正確に演じていたんだな、、。」
こういった気付きが得られることこそ、映画と原作を両方楽しんだものの”特権”なんですね。
さらに、「原作と映画版ではストーリーが若干違う」ということも頻繁にあったりします。
「映画では、ここをあえてこういう風に表現したんだな~。」など、原作→映画、という順番でもまた違う面白さがあるんです。
そんなわけで、自分の好きな映画からで良いので、ぜひぜひ、「好きな映画の原作チェック」を試してみてほしいです!
小説についての「名言」
ここで、小説についての名言で、個人的にとても好きなものがあるので、最後に紹介して終わりたいと思います。
ポルノグラフィティのギタリスト・晴一さんは、こう言ったそうです。
「映画は、映像が嘘っぽいと白けちゃうんだけど、小説だと自分で想像するから、何でもできるよね。」
(ギタリスト ポルノグラフィティ・晴一さん)
何でもできる、というのが、個人的にすごく響きませんか・・・?
また、作家・本多孝好さんは、小説を書くことについて、こう語ったそうです。
「映像にできるならしてみろ、というくらいの気持ちで書いています。」
(作家 本多孝好さん)
これらの言葉に、小説が持つ「力」を強く感じるのではないでしょうか。
今回紹介した名言は、伊坂幸太郎さんの『3652』参考にしました!詳しく気になる方はぜひこちらも手にとって見てください。
まとめ
今回は、「本と映画の違い」について話をまとめていきました!
文字と映像、それぞれの面白さを味わいながらストーリーを楽しんでいけると、面白さは2倍、3倍にもなっていきますよ!
- 小説には「感情を事細かに表現できる」という強みがある
- 映画は役者の表情から受け手が察する必要があるため、人によって「解釈の違い」が生まれる
- 映画と原作の両方を知ることで、「作品の深い味わい」ができる!
最後に実例
最後に、「小説と映画での違い」について、ちょっとした”実例”を紹介します。
私の大好きな伊坂幸太郎さんの本「グラスホッパー」!
小説自体は、個性的な登場人物たちと、ハッとさせられるセリフ、そして独特な世界観がとてもおもしろかったです。
しかし!「映画版」は、私からしたら「う~ん、これは微妙だ・・・。」と感じてしまったんですね。。
小説を映画の世界に変えるのは、作品によってハードルが非常に高いのだと思い知らされた作品の1つです・・・!
こんな例を知ると、やはり作品によって「小説向き」「映画向き」といったものがあることを知ることができます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
興味深く読ませていただきました!
私はなぜ小説より映画が好きなのだろうと整理することができました。
◆映像化を読者に委ねているのが小説。
◆感情を視聴者に委ねているのが小説。
だと思いました。
なので、年に数冊だけ小説を読みますが、どうしても「理屈っぽいな」と感じてしまうのです。そこは私の感覚で受け取らせて欲しい!と思ってしまうことが多いからです。
映画は登場人物の感情をカメラワーク、色や光の使い方、音楽、役者の雰囲気、間の取り方…など言わば『言葉以外の全て』で表現してくれます。
そして感情のみを視聴者に委ねてくれているところが映画の醍醐味であり、私自身が映画を好む理由だと実感しました。
主人公が流す一雫の涙に何を感じ取れるのか?それを考えるのがとても面白いです。
Ringoさん、コメントありがとうございます!
ふと自分で考えてみたことが、こうやってRingoさんに届いたことがとても嬉しいです。
>主人公が流す一雫の涙に何を感じ取れるのか?それを考えるのがとても面白いです。
この表現がとても格好良く、非常に腹落ちしました!
確かにそれは、小説では決して味わうことができない「映像だからこそ」の醍醐味ですよね。
返信嬉しいです!
ありがとうございました!
(*⁰▿⁰*)