こんにちはネルです!
今回は、「【AIに政治は可能か?】人工知能の限界は数値化できるかどうか『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』」というテーマで話をしていきます。
参考にした本は、新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』です!
- AIは「数値化」できるものしか実現できない
- 「どんなものがより良い政治か」数値化できないため、AIによる政治は実現不可能
- AIの限界を知り、過度な期待や不安を抱かないようにしよう
それでは、順番にポイントをまとめていきます!
AIによる政治は可能か?
「AIに政治を任せたほうが、もっとマシなものになるのではないか」
こういった意見が、最近は一般人だけではなく社会学者の間でも言われているそうです。
しかし、著者の新井紀子さんは「AIに政治をやらせることは不可能である」と断言しています。
その理由は、「良い政治とはどんなものであるか、数値化ができないから」です!
AIの限界は「数値化」ができるかどうかで決まる
それでは、ここでいう「数値化」とは一体どういうことなのでしょうか。
めちゃくちゃ単純に言うと、「良し悪しを点数として表せるかどうか」ということです。
たとえば、「迷路の中を移動して自動でゴールするAIロボット」を考えてみます。
この場合、「少しでも早くゴールにたどり着いたら高得点」という基準をロボットに与えることが可能です。
ロボットは、まっすぐ進む、右に曲がる、左に曲がる、それぞれの動作をランダムに行っていきます。
そしてその中で偶然にも早くゴールにたどり着くロボットが現れ、高得点が出る。
その高得点のルートを基準にして、さらに高い点数が出るよう、一つ一つルートを探索していくことになります。
これによって、迷路を最も早くゴールするロボットが出来上がるというわけなんです。
このように、「〇〇だったら高得点!」と明解に表すことができる分野だと、AIは本領を発揮できるというわけなんですね!
どんな政治が「良い政治」か数値化は不可能
それでは次に、今回のテーマである「良い政治を行うAIロボット」を考えてみましょう。
まず、上で挙げた迷路を早くゴールするAIのように、「〇〇したら高得点!」と数値化しなければいけませんよね。
では、「〇〇したら良い政治!」と明解に言い表すことは可能でしょうか。
以下のようなアイデアは、それぞれ上手く機能しません。
- 「経済が成長したら良い政治」→人の幸せを無視した無機質な政治になるリスクがある
- 「多くの人が幸せになったら良い政治」→人の幸せはどうやって測定するのか
- 「国民アンケートで政治力を判定させる」→設問によって回答を誘導するなど、AIが手段を選ばずに行動するリスクがある
このように、政治の良し悪しというのは数値化できないという問題があるのです。
そのために、AIロボットに良い政治を行わせることは不可能だと言えます。
まさか、「良い感じに政治をしてくれ!」なんて命令を実行できるものではないので・・・。
AIですべてが解決できるわけではない
ここまでお話してきたように、AI・人工知能と聞くと、なんでも解決可能であるかのように錯覚してしまいがちですよね。
しかし、研究者の立場からすると、AIにも大きな弱点があるということです。
「良い政治」とはどんなものか数値化ができないように、「人が何となく感覚でうまくやっている」というモノはAIにとって一番の苦手事項ということなんです。
ここで、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』より引用します。
AI やロボットは「人間社会で」役立つように作られる必要があります。「役に立つとは何か」を知っているのは、人間だけです。ですから、人間がなんらかの方法で正解を AI に教えなければなりません。
(本文引用)
「役に立つものは何か」を知っているのは人間だけ。
結局はそれを教え込むのも人間だけということなんです。
それによって、「役に立つものは〇〇というものだ」ときっぱりと言えない分野は、AIからしてもどうしようもないモノ。
テレビや雑誌などで「AIによって人の仕事が失われる」という話が非常に広まっていますが、AIだからといってなんでもできるわけではない、ということもよく抑えておく必要があるんですね!
まとめ
今回は、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』より、「【AIに政治は可能か?】人工知能の限界は数値化できるかどうかというテーマで話をしていきました。
「人間が明確に言い表せないものはAIにも実現しようがない」ということをぜひ覚えておきたいですね!
- AIは「数値化」できるものしか実現できない
- 「どんなものがより良い政治か」数値化できないため、AIによる政治は実現不可能
- AIの限界を知り、過度な期待や不安を抱かないようにしよう
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!