こんにちは読書ブロガーのネルです!
あなたは、「インフレ」という言葉について、どこまで正しく理解できていますか?
今回は、インフレについて、一歩踏み込んだ話題をまとめていきます。
インフレーション、いわゆる「インフレ」の話題と言うと、知り合いとこんなやり取りをしたことはないですか・・・?
Aさん:「日本の借金がやばい、とか言うけど、、。国は借金が増えたらお金を沢山刷れば良いだけじゃん。」
Bさん:「いや、お金を刷ると”インフレ”が発生するからだめだよ。」
Aさん:「なんで、お金を刷ったらインフレになるの?」
Bさん:「そりゃあ、お金が多いとお金自体の価値が下がるからでしょ。」
Aさん:「う、う~ん、、。よくわからん。。」
「お金を沢山刷ると、インフレが発生するからだめ」
この答えって、「なんだか分かったような気」にはなれますが、正直”もやっと”しませんか?
お金を刷ったら、果たして本当にインフレになるのか?と。
- もしも、国がこっそり大量にお金を刷っていたとしても、それに世の中の人達が気づくか?
- お店も、『世の中にお金が大量にあるなら、モノの値段をもっと上げよう。』ってなるか?
こんな疑問が湧いてきますよね、、。
そこで今回は、「お金を沢山刷るだけで、本当にインフレになるのか?」という疑問に対し、ネットを駆使して色々と調べてみました。
その調べた過程を含め、結果をまとめて行きます!
- 「お金を大量に刷るとインフレになる」とは限らない
- お金の価値は、「貨幣流通速度」も関係がある
- お金が大量に刷られ、社会でお金が循環すると、インフレが発生する
【目次】
最初に結論
まず、忙しい人のために、最初に結論をまとめておきます。
「お金を沢山刷るだけで、本当にインフレになるのか?」という問いに対する答えは・・・
「お金を刷るだけでは、インフレになるとは限らない。お金が増えて、社会へのお金の流通速度が上がると、インフレが発生することになる。」
これが結論です。
少し複雑な話なので、順を追って説明して行きます!
気になったきっかけは「ジンバブエのハイパーインフレ」
まず、そもそもなぜ「インフレ」について気になったか、という背景をお話します。
きっかけとしては、さくら剛さん著『世界のニュースなんてテレビだけでわかるか!ボケ!!』の以下の文章を読んだことでした。
ジンバブエの通貨はジンバブエ・ドル(以下「Zドル」)ですが、2000年代に「ハイパーインフレ」と呼ばれるすさまじいインフレが進行した結果、彼の国では最終的に 100兆Zドル紙幣 が発行されるまでに至っています。
(Kindle位置:405)
まず、南アフリカに、「ジンバブエ」という国があるんですね。
その国で使用していた「ジンバブエ・ドル」で、2000年のはじめ頃、インフレが発生したといいます。
それがただのインフレではなく、「ハイパーインフレ」と呼ばれる強烈なインフレで、お金の価値が異常なほど下がりました。
そして結果的に、なんと「100兆ジンバブエ・ドル」が発行された、という歴史があったそうです。
ではなぜ、そんな「ハイパーインフレ」が発生したのか?
その答えは実にシンプルで、「当時のジンバブエの大統領が、お金を大量に刷りすぎたから」です。
インフレとは
ここで一旦復習として、「そもそもインフレとはなにか」について簡単にまとめます。
インフレとはずばり、「お金の価値が下がること」=「モノの値段が上がること」です。
たとえば、日本でインフレが起こった場合を考えます。
日本では、「コーラが1個100円」で買えますよね。
これは、「コーラ1個と100円硬貨が、同じ価値のものだ。」とみなされているからだと言えます。
ここでもしインフレが起こり、「お金の価値がぐっと下がる」と、どうなるでしょうか。
お金の価値が下がったのですから、「コーラ1個に対し、100円では足りんだろ!」という話になってしまうんです。
そして、「コーラ1個が500円」「1,000円」「1,500円」・・・・、と、以前よりも値段がどんどん上がってしまうんですね。
「お金の”価値”が低くなったから、その分モノを買うときに、もっと多くのお金が必要になる。」
というイメージです。
実際、「ハイパーインフレ」の発生によって、お金の価値が激しく減少し、最終的には「卵3個が1000億ジンバブエ・ドル」で販売されていたそうです。
「お金が増えたからインフレになる」という説明は、一部論理が抜けている?
「じゃあ、なんでインフレが起きるの?」そういった疑問が出てくると思います。
ふと気になってもやもやしたため、「インフレ 原因 お金 刷る」などといったキーワードで、Google検索をかけまくり、色々なサイトを読んでみました。
その結果、答えのほとんどが、「お金を刷りすぎたから」というんですね。
- 一般的に、大量にあるモノは価値が低くなる。
- お金を刷りすぎると、国に大量のお金ができてしまう。
- だから、お金を刷りすぎると、お金の価値が下がってしまう。
うーん、なるほど、、
一見ロジカルで、最初は「なるほど~。」と素直に思っていました。
でも、冷静に考え直してみると、私はこの回答に”引っかかり”を感じました。
引っかかりとは、次のような疑問です。
「たとえば、政府がお金を100兆円分刷ったとする。」
「これを、ある富豪が受け取って、その富豪1人だけが豪遊していたとする。」
「その場合は、富豪が宿泊したホテルとか、利用した飲み屋はたしかにある程度儲かるけど、、。」
「それによって、『最近世の中のお金が増えてきたから、モノの値段を上げよう!』と、全ての国民が思うか?」
「見ず知らずの人が豪遊しても、自分の生活に変化もなさそうだし・・・。」
つまり、「お金を政府が大量に刷ったところで、自分たち庶民の生活には影響なさそうじゃないか?」と感じたわけです。
ここまで読んで、あなたはどう感じますか・・・?
国がお金を大量に刷っても”必ずしも”インフレにはならない
もっと言えば極端な例を出せば、「国が100兆円お金を刷っても、それを国がタンス預金していたら、誰にもなんの影響もない」はずですよね。
つまり、「お金を大量に刷る」ことと「インフレになること」は、必ずしもイコールではないと思ったんです。
なにか、なにか一部論理が抜けているはずだ、、。
そう調べているうちに、出会ったのが、「貨幣流通速度」という概念です。
インフレになる鍵は、「貨幣流通速度」にあった!
「貨幣流通速度」とは何か?
「貨幣流通速度」とは、「お金が、どれくらいのスピードで社会を回っているのか?」ということを示した言葉です。
それが、今回の話にどう繋がるのかと言えば、
「お金の価値は、『お金の量』×『貨幣流通速度』で決まる」
ということが分かっています。
つまり、お金の価値は「お金の量」だけでは決まらず、「お金の流通具合」も関係がある、ということなんです。
「こ、これだ!!」となりました。
最初に、「お金が世の中に多いほど、お金の価値は下がってしまう」とお話しましたが、実は、この説明では一部説明が足りていないんですね。
正しい答えは、
「お金が世の中に多く、また、お金が世の中できちんと循環している」ほど、お金の価値が下がる、ということなんです。
「貨幣数量説」
この「貨幣流通速度」は、もともとも、「貨幣数量説」という理論からもってきたものです。
少し難しい話なので・・・私の今の理解できている範囲でまとめます(笑)
貨幣数量説とは、「お金の関係は以下のような式で表される」という理論のことです。
【貨幣数量説の式】
「物価(P)×生産量(T)=貨幣数量(M)×貨幣流通速度(V)」
(参考:『三井住友DSアセットマネジメント 貨幣数量説』https://www.smd-am.co.jp/learning/glossary/YST2935.html)
簡単に言ってしまうと、「たとえお金の総量が増えても、貨幣流通速度が落ちれば、物価は変わらない」ということです。(上式の、Mが増えて、Vが減った状態)
お金を刷って、きちんとそのお金が循環していると、モノの値段は上がる
この貨幣流通速度の概念を入れることで、私のもやもやしていた気持ちは、晴れてスッキリとしました!!
前述した、「国がお金を大量に刷っても、タンス預金していたらインフレなんて起きないよね・・・?」という疑問は、正しかったのです。
この場合、「お金の量は確かに増えている。しかし大量のタンス預金によって『貨幣流通速度』が落ちたかたら、結果的に物価は変わらない。」ということです。
つまり、インフレは以下の状態で発生すると結論づけられます。
- お金が大量に刷られて、しかも社会できちんと循環している状態
- お金が増えてはいないけど、みんなの”羽振り”が急激に良くなって、お金が社会で好循環している状態(例:日本のバブル期)
こういった状態の中では、「みんながお金を沢山使っている」ということなので、その分、モノの値段は上がっていきますよね。
本で疑問に思ったことが深く調べるきっかけに
以上、「インフレになるメカニズム」について、まとめてきました!
今回は、何気なく読んだ本の説明で、インフレへの理解が大きく進んだと思っています。
この説明で、私と同じように「もやもやが晴れた!」という方が1人でもいてくだされば嬉しいです!
- 「お金を大量に刷るとインフレになる」とは限らない
- お金の価値は、「貨幣流通速度」も関係がある
- お金が大量に刷られ、社会でお金が循環すると、インフレが発生する
(↑今回、引用に使用した本です。画像クリックでAmazonのページにジャンプします)
今回の記事を書くきっかけになったこの本は、世界のニュースを”超くだけた言葉で”、分かりやすく解説してくれている本です。
出版年がやや古い(2015年)ため、扱っているニュースも少し古いですが、歴史的に大きなニュースを取り上げているので、とても大きな学びにつながると思います。
またこの本は、2022/07/09現在、「Kindle unlimited」で”無料”で読むことができるのも嬉しいポイントでした。
まだ利用したことのない方は、下記のリンクからチェックしてみください!
また、インフレについて詳しい方は、ぜひコメント欄で補足などしてくださると嬉しいです!
それでは!