あなたは、これまでこんなやり取りをしたことないですか・・・?
相手:「日本の借金がやばい、とか言うけど、国がお金を刷っているんだから、国の借金が増えたらその分お金を刷って返済すれば良いじゃん。」
自分:「いや、お金を刷ると、インフレが発生するからだめらしい・・・。」
相手:「それ聞いたことあるけど、、そもそもなんで、お金を刷ったらインフレになるの?」
自分:「うーん・・・。お金が多いと、お金の価値が下がるから、とか学校で習ったけど。」
相手:「なんか、直感的によくわからないよね。。」
この答えって、納得できるようで、なんだかもやっとしませんか?
お金を刷ったら、本当にインフレになるのか?と、、。
今回は、「なぜ、お金を刷りすぎたらインフレになるか?」という疑問に対し、自ら調べてみて学んだ結果をまとめてみました。
というのも、今まで次のような疑問をもっていました。
「もしも、国がこっそり大量にお金を刷っていたとしても、それに世の中の人達が気づくか?」
「お店も、『世の中にお金が大量にあるなら、モノの値段をもっと上げよう。』ってなるか?」
改めて疑問に思ったので、自分なりに調べて記事にまとめてみます!

- 「お金を大量に刷るとインフレになる」というのは、正確ではない
- お金の価値を考える際には、「貨幣流通速度」も考える必要がある
- お金が大量に刷られたり、社会でお金がよく循環するようになると、インフレが発生する
【目次】
気になったきっかけ → ジンバブエのハイパーインフレ
まずは、そもそもなぜ「インフレ」について気になったか、という背景をお話します。
きっかけとしては、さくら剛『世界のニュースなんてテレビだけでわかるか!ボケ!!』の以下の文章を読んだことでした。
ジンバブエの通貨はジンバブエ・ドル(以下「Zドル」)ですが、2000年代に「ハイパーインフレ」と呼ばれるすさまじいインフレが進行した結果、彼の国では最終的に 100兆Zドル紙幣 が発行されるまでに至っています。
(Kindle位置:405)
あなたは、過去にこんな事態があったことを知っていましたか?
ジンバブエで使用していた「ジンバブエ・ドル」でインフレが発生し、「100兆ジンバブエ・ドル」が発行されたんですよ!
100兆て!!笑

なぜ、そんな「ハイパーインフレ」が発生したのか?
それは、「当時のジンバブエの大統領が、お札を大量に刷りすぎたから」だというのです。
インフレとは
ここで一旦、復習として、「そもそもインフレとはなにか」について簡単にまとめます。
インフレとは一言でいうと、「お金の価値が下がること」=「モノの値段が上がること」です。
たとえば、日本でインフレが起こった場合を考えます。
日本では、コンビニで「コーラが1個100円」で買えますよね。
もしインフレが起こり、「お金の価値がぐっと下がる」と、「コーラが1個500円」「1個1,000円」「1個1,500円」・・・・、と、物の値段が以前よりも上がってしまうのです。
わかりやすく言ってしまうと、
「お金の”価値”が低くなったから、その分、以前と同じモノを買うときは、より沢山のお金が必要になる。」
というイメージです。
実際に、ジンバブエでは激しいインフレ、すなわち、「ハイパーインフレ」の発生によって、お金の価値が激しく減少。
「卵が3個で”1000億”ジンバブエ・ドル」
で販売されていたそうです。

「お金が増えたからインフレになる」という説明は、一部論理が抜けている?
じゃあ、「なんでインフレなんて起きるのか?」そういった疑問が出てくると思います。
そこで私は、「インフレ 原因 お金 刷る」などといったキーワードで、Googleから色々なサイトを読んでみました。
その結果、答えのほとんどが、「お金を刷りすぎたから」というんですね。
- お金を刷りすぎると、社会の中にあるお金の合計量が多くなる。
- 一般的に、大量にあるモノは価値が低くなる
- だから、お金を刷りすぎると、お金が大量に増えて、お金の価値が下がってしまうのだ。
うーん、なるほど、、。
最初は、なるほど、と素直に思っていました。
でも、よくよく冷静に考えてみると、私はこの回答に、どこか”引っかかり”を感じてきたんです。
引っかかりというのは、以下のような疑問を抱いていたからです。
「たとえば、政府がお金を大量に刷ったとする(例として、100兆円)。
これを、ある富豪が受け取って、その富豪1人だけが豪遊していたとする。
その場合は、富豪が宿泊したホテルとか、利用した飲み屋はたしかにある程度儲かるけど、、。
それによって、『最近お金が増えてきたから、より沢山のものを買おう!』と、全国民が思うか?
見ず知らずの富豪が豪遊していたとしても、自分たちの生活にはなんの変化もなさそうだし・・・。」
つまり、「お金を政府が大量に刷ったところで、自分たち庶民の生活には影響なさそうじゃないか?」と感じたわけです。
あなたは、ここまで読んで、どう感じますか・・・?
政府がお金を大量に刷っても”必ずしも”インフレにはならない
もっと言えば、極端な話、「政府が1000兆円お金を刷っても、それを一切使用することなく国がタンス預金していたら、誰にもなんの影響もない」はずですよね。

つまり、「お金を大量に刷る」ことと、「インフレになること」は必ずしもイコールではない、と思ったんです。
なにか、なにか一部論理が抜けているはずだ、、。
そう考えて色々調べるうちに、こんな動画に出会いました。
『ハイパーインフレに陥ったジンバブエでは何が起こっていたのか?わかりやすく解説 | 札束が紙くずになってしまった現実はなぜ起きたのか【経済】』
ジンバブエのハイパーインフレについて、とてもわかりやすくロジカルに解説してくださっている動画でした。
ここでものすごく大きなヒントを得たのが、
「貨幣流通速度」
という概念です。
結論から言うと、この言葉を知ったことで、私の疑問は晴れて解決しました!
インフレになる鍵は、「貨幣流通速度」にあった!
まず、「貨幣流通速度」とは何か?
漢字だけパッと見ると難しそうに感じますが、文字自体を冷静にみると、とてもわかりやすいです。
「貨幣流通速度」とは、「お金が、流通する速度」つまり、
「お金が、どれくらいのスピードで社会を回っているのか?」ということです。
この「貨幣流通速度」が、今回の話にどう繋がるのかと言えば、
「お金の価値は、『お金の量』×『貨幣流通速度』で決まる」
ということなんです。
「こ、これだ!!」となりました。
最初に、「お金が世の中に多いほど、お金の価値は下がってしまう」とお話しましたが、実は、この説明では一部説明が足りていないんですね。
正しい答えは、
「お金が世の中に多く、また、お金が世の中できちんと循環している」ほど、お金の価値が下がる、ということなんです。
「貨幣数量説」
この「貨幣流通速度」は、もともとも、「貨幣数量説」という理論からもってきたものです。
少し難しい話になるので、今回はさらっとだけご紹介しますが、
物価やお金の関係は、以下のような式で表される、という理論のことです。
「物価(P)×生産量(T)=貨幣数量(M)×貨幣流通速度(V)」
(参考:『三井住友DSアセットマネジメント 貨幣数量説』https://www.smd-am.co.jp/learning/glossary/YST2935.html)
つまり、簡単に言ってしまうと、お金の総量が増えても、貨幣流通速度がその分落ちれば物価は変わらない、ということです。(上式の、Mが増えて、Vが減った状態)

お金を刷って、きちんとそのお金が循環していると、モノの値段は上がる
この貨幣流通速度の概念を入れることで、私のもやもやしていた気持ちは、晴れてスッキリとしました!!
先程出した、「国がお金を大量に刷っても、タンス預金していたら、インフレなんて起きないよね・・・?」という疑問は、正しかったのです。
では、なぜこの場合はインフレが起きないか、というと、
「お金の量が増えても、タンス預金によって、国の『貨幣流通速度』が落ちたかたら、結果的に物価は変わらないよ。」
ということなんですね。
つまり、インフレが起きるのは、以下のような状態のときなんですね。
- お金が大量に刷られて、しかも今まで通りお金が社会で循環している状態
- お金が増えてはいないけど、みんなの”羽振り”が急激に良くなって、お金が社会で好循環している状態(例:日本のバブル期)
こういった状態は「みんなが以前よりもお金をよく使っている」ということなので、その分、モノの値段は上がっていきますよねv。
いや~、めちゃくちゃすっきりしました!!
本で疑問に思ったことが深く調べるきっかけに
以上、「インフレになるメカニズム」について、まとめてきました!
何気なく読んだ本の説明でちょっとした疑問を抱き、自力で調べて理解していくことで、知識の幅がどんどんと広がっていく。
こういうことがあるから、読書はやめられねえ!たまらねえ!と思いました笑
自分で調べだして理解した知識だからこそ、時間が経っても忘れない、大事な知識になれたと思っています。
この説明で、私と同じように「もやもやが晴れた!」という方が1人でもいてくだされば嬉しいです!
- 「お金を大量に刷るとインフレになる」というのは、正確ではない
- お金の価値を考える際には、「貨幣流通速度」も考える必要がある
- お金が大量に刷られたり、社会でお金がよく循環するようになると、インフレが発生する
上記の本は、世界のニュースで聞く話題を、これでもか!というぐらい、わかりやすく解説してくれている本です。
出版年が少し古い(2015年)ので、扱っているニュースも少し古いですが、、。
それでも、歴史的に大きなニュースを取り上げているので、学べることをひじょーーに、大きいですよ!

またこの本は、2021/02/14現在では、「Kindle unlimited」で”無料”で読むことができるのも非常に嬉しいポイントです。
通常は、「月額980円で、本が読み放題」というサービスですが、キャンペーンで「30日間無料体験」もできるので、
まだ利用したことのない方は、下記のリンクから確認してくださると嬉しいです!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!