「セカンドペンギン」という言葉がこの記事のメインテーマです。あなたは聞いたことがありますか?
「リーダーシップ」を語るときに使われるもので、最近のビジネス書では頻繁に見かけます。
どういうものかと言うと、
チームの中で、最初に誰かが「〇〇をやってみよう!」と言い出した後に、「いいね!俺も賛成だよ!」と手を上げる人のこと。
- 最初に手を上げた人:「リーダー」として、
- 初めて賛成意見を表明する人:「セカンドペンギン」ということです。

このセカンドペンギンが、特に日本では強く求められている。
そんな話を今回は、水野学・山口周『世界観をつくる』より、まとめていきます!
【目次】
日本に足りないのはリーダーではない
- 「日本からはクリエイティブな発想が生まれない。」
- 「我が国に足りないのは、周りを引きつけるリーダーシップのある人材だ」
こんな言葉、あらゆるところで耳にしますよね。

しかし、山口周さんらは、「リーダーシップよりも実は『セカンドペンギン』の方が重要だよ」と、語ります。
「セカンドペンギンがいて初めてリーダーが生まれる」、と言うんですね。
これは一体どういうことか、あなたはすぐにわかりますか・・・?
セカンドペンギンがいないとリーダーは・・・
冒頭でも述べましたが、「セカンドペンギン」について振り返ると、
誰かが言いだした案に対して、”最初に賛成意見を述べる人”のことです。
最初に意見を考えついた人を「ファーストペンギン」として、その人に続いて意見を言うため「セカンドペンギン」という言葉が割り当てられているんですね。
それでは、ここで考えてみてください。
もし、チーム内に「セカンドペンギン」がいなかったら、リーダーの意見はどうなるでしょうか。
それは、「ただ、変なこと言ったイタい奴」となって、終わるんですね(笑)

逆に、最初にリーダーが言い出した案に対し、「俺もそれに賛成だ。協力するよ!」と言い出す人がいたら、リーダーにとって非常に心強い。安心するわけです。
その後すぐに、賛成を表明する人が、3人目、4人目、・・・と続いていく場面が、容易に想像できるのではないでしょうか。
だからこそ、最初に斬新な意見を述べるリーダーも大事ですが、それに続くセカンドペンギンの存在が実は鍵になる、ということなんですね。
なぜ、ペンギンと言うのか
ちなみに、なぜ「セカンド”ペンギン”」と、動物のペンギンが言葉に入っているのか、あなたは知っていますか。
これは、ペンギンの習性から来ています。
ペンギンは群れで行動し、基本氷の上で過ごしますが、餌を取るときには、氷の上から海の中に飛び込んで魚をとるわけです。
しかし、この海の中に飛び込むのはリスクがあります。
天敵のオットセイなどが、飛び降りてくるペンギンを待ち構えている危険があるんですね。
最初に、勇気あるペンギンが海に飛び込む
もし、ここで、群れが一斉に海に飛び込んだら、大半が天敵に食べられてしまいます。

では、どうするのか。
「最初に勇気ある一匹が、試しに海の中に飛び込んでいく」のです。
そして、特に危険なく、餌をゲットできそうだとわかったら、他の仲間のペンギンたちもそれに続いて次々に飛び込んでいくことになります。

・・・と、このように、最初に飛び込む勇気あるペンギンのことを「ファーストペンギン」と呼びます。
この言葉、少し前まで、「勇気を持って斬新な意見・アイデアを発信する人」として頻繁に使われ、組織において強く求められていました。
「ファーストペンギン」になるか「アローンペンギン」になるかの違い
悲しくも、ファーストペンギンが最初に海に飛び込んで天敵に食べられてしまっては、「うわ、、あいつ、オットセイに食われちまったよ・・・」となりますよね。
この場合は、ファーストペンギンというより、1人で死んでいったという意味で「アローンペンギン」とも言えるわけです。
それでは、このアローンペンギンをリーダーシップのある「ファーストペンギン」と変えるのは一体何か。
これこそが、アローンペンギンに続いてリスクをとって飛び込んでいく「セカンドペンギン」なんですね。
これは組織でも同じで、最初の言い出しっぺが「アローンペンギン」になるか、「ファーストペンギン」になるかは、「セカンドペンギン」が握っているということ。

「人間ペンギンがすぐに天敵に食べられる=計画が駄目だとわかる」というわけではないのが、動物のペンギンと違って難しい。
ただ、少なくとも人間の場合、セカンドペンギンがいないと、”必ず”ファーストペンギンが駄目になる、ということは確かなのではないでしょうか・・・!
セカンド”日本”ペンギンは生まれづらい
そして、個人的にも本書で強く納得した箇所が、「日本ではリーダーよりも、セカンドペンギンが生まれづらい」という話です。
なぜ、そんなことが言えるのか。
その理由は、「日本人は、昔からリーダーを嫌う」傾向があるから、と言うのです。
ここは、著者のお二人の言葉を引用します。
山口:(中略)クラスの中で周りの空気を読み合って意見がまとまりかけているとき、「これはおかしいと思う」とか言い出す奴がいると顰蹙(ひんしゅく)を買うでしょう?
水野:「めんどくさいやつ」とか、「いいカッコしてる」とか「目立ちたがり」とか。それって会社組織でも同じですよね。浮いてしまうというか、周りから浮かされちゃう。

日本って、(海外では実態はどうかわかりませんが、)学級委員長みたいなリーダーシップを出そうとする人を、どこか「バカにする」傾向ってありますね。
これ、冷静に考えると、非常にまずい状況じゃないですか・・・?
たしかに、空気をまったく読まず、自分勝手な意見を言うだけの人はよくないです。
でも、「皆と違った意見を言ってみる」行為それ自体が、そもそも不可能な雰囲気になっている。
万が一そういう奴がいたら、皆で村八分にしてしまう強烈な空気があるんですよね。
こういった学生自体を過ごしてきた日本人は、世界と比べても、「変なことを言い出すやつ」が生まれにくく、仮にいたしても、「誰も賛同しない」という状態となっているんですね。
【取るべき戦略】:イノベーションを生むために、一人ひとりが勇気を持つ!
だからこそ、「私達が取るべき戦略」は、今後もリーダーシップのある人を求め・育てつつ、「そのリーダーにきちんと賛同してあげる人」=「セカンドペンギン・フォロワー」を並行して育てることではないでしょうか。
そして、セカンドペンギンにも、非常に勇気が求められる、ということを忘れてはいけません。
リーダーにばかり主体性を求めるのではなく、その周りにいる人全員に、「良いと思った案には良いときちんと表明する勇気」を持ってもらうこと。
これこそが、「強い組織」をつくる重要な要素となるのではないでしょうか。

まとめ
今回は、これからの時代に強い組織を作るには、「セカンドペンギン」の存在・育成が重要だ、という話をまとめていきました。
「リーダーがいなくて困る」「誰も、独創的な意見を言わない」
なんて、悩みを抱えている人は多いかもしれませんが、そうなっている理由は、
「セカンドペンギンがいなから」
ということなのかもしれません。
組織として、「リーダー=ファーストペンギン」を育てると同時に、「フォロワー=セカンドペンギン」もしっかり育てていく、という方針も重要なのではないか。
そう、強く感じさせてくれる本でした。
経営・ビジネスにおいても、”アート”を重視する、という2人だからこそ、意外な気付きに繋がりやすい本だと思いますよ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!