先日、伊坂幸太郎さん著『AX』を読みました。
もうね、、自分の最も好きな作家として、予想どおりの最高の面白さでした!
面白すぎて、ついつい”プチ夜ふかし”しながら、どんどん読み進めていけました。
ということで折角なので、既にAXを読んで復習したい人、または、まだ読んでない人へのおすすめの意味も含め、本書の「名言」についてまとめていきます!
- 奥さんには、「へりくだり過ぎても」「高圧的でも」NG
- 会話の中では、「大変ですね。」という魔法のワードを活用する
- 自分が「管理できる範囲」は把握しておく
【目次】
『AX アックス』感想
本書『AX』は、殺し屋シリーズ第3段という位置づけです。
これまで、伊坂幸太郎さんは、『グラスホッパー』『マリアビートル』という、殺し屋が出てくるシリーズを2作公開していました。
今回の『AX』は、その殺し屋シリーズの第3段ということですね。
「殺し屋」というと、「かなり残虐な小説か?」と身構えてしまうかもしれませんが、、。
そこはいつもの著者の作品らしく、人を傷つける箇所はほとんど描写はなく、むしろその殺し屋をとりまく人間関係であったり、絶妙な言葉の掛け合い、というのが盛り込まれた話です。
今回も、やはり「人間味のある殺し屋の主人公」が描かれていますが、特徴的なのが、主人公が ”恐妻家”という点です。
本の冒頭から、主人公が妻を恐れいている様子が、至るところに描かれています。
特に男性が読んだら、いくらか主人公の気持ちに共感できるのではないでしょうか・・・笑
そういったこともあり、本書の登場人物の発言も、奥さんや子供に関するものが多いです!
ここからは名言をまとめていくので、ぜひ楽しんで読んでみてください!
特に心に残った「名言」まとめ
それでは、本書『AX アックス』の名言をまとめていきます!
ピンチの時には、「相手への感謝を”へりくだることなく”伝える」べし
まずは、「父親である自分が、子供の状況をきちんと知らない」という事実に、奥さんに気づかれた時に使えるテクニックです(笑)
平均的に見ても、父親は母親と比べても、子供の細かい状況には関心が薄い、ということは納得できるのではないでしょうか・・・。
ここでは、主人公がふと、
「克己(注:息子のこと)の学校は、給食だったかな?」
と聞いた際のこと。
奥さんから、
「あなたは、息子のことを何も知らない。もっと注意を払うべきよ!」
と言われてしまった時の話です。
主人公の切り返し術を見てみましょう・・・!(笑)
「自分では、それなりに息子のことに気を配っているつもりだけれど、君に指摘されてみると、全然足りていないんだな、と痛感するよ。君のおかげで、また成長できた」と相手への感謝を、あまりへりくだることなく、伝えるのも重要なポイントと言えた。
(Kindle位置:254)
つまり、こういうピンチでは、あくまで媚びる態度は取らず、
- 自分はきちんとやろとしていた
- しかし、”まだ”努力が足りなかった
- 「気づくことができた、ありがとう」と冷静に伝える
この3点を伝えるべき、だと言うんですね。
ただ、「ごめんね。」と謝るだけとか、「なんだ!俺だって・・・!!」とキレてしまうとかではなくて、「努力はしていたけど、確かに不足だった。ありがとう」と伝えるんですね。
ぜひ覚えておきたい名言でした、、笑
「浮気なんてありえない」という態度を取る
続いても、主人公と奥さんの会話のシーン。
会話中に、「学校の男性教師が浮気しているかもしれない」という話題になったときの話です。
こういう話題になった時、「旦那としての反応として正しいもの」は一体どんなものでしょうか。
主人公が導き出した「最適解」を見てみます。
「山田先生って既婚者だよ」 兜(注:主人公)はそこで大きく息を吐き出し、信じられないよな、と言わんばかりに頭を左右に振る。「まさか、既婚者がよその女性と仲良くするなんてな。そんなものは、都市伝説のようなものだと思っていたよ」
(Kindle位置:325)
ここまで来ると、もはやコントみたいですね(笑)
重要なのは、こんなシーンで決して、「男なんて、浮気するもんだよな~。」なんて態度を取らないことです。
あくまで、自分は浮気なんて考えたことがない。
そして、「浮気なんて、都市伝説だと思っていたよ!!」と驚いてみせる。
これこそが、真の恐妻家が身につけた、奥さんとうまくやっていくコツだということですね(笑)
世の中の人間は、みな大変
ちょっとした世間話なら、上手に切り抜けられる「魔法の言葉」って知っていますか?
それは、「大変ですね。」です(笑)
「今日はこれから夜の警備に入るんです」と奈野村(注:主人公の友人)は言う。 「大変ですね」兜は 相槌 を打つ。 何が大変なのかは関係がない。世の中の人間はどのような者も大変なのだから、どのような状況であろうとそれを 労っておけば問題がない。兜はそのことを、妻との生活から学んだ。
(Kindle位置:1,754)
何が大変かは関係がない、その理由を知らなくても、「大変ですね。」と言っておく。
人は、誰しも”大変”だから、相手をねぎらっておけばうまくいく、というわけですね(笑)
相手の発言に、いちいち噛み付いたり、「自分の方がもっと大変だ」と、つまならい勝負に出る人は意外と多いものです。
こういった態度を取ってしまうぐらいなら、「大変だね。」と相手のことを気遣えている方が、いくぶんか良い選択肢なのかもしれませんね(笑)
自分の目に見えるものだけに対処しろ
最後は、「マンションの管理人」がふと語った言葉の紹介です。
管理人らしく、「管理」についての独自の考えを披露しくれています。
「管理なんてのはな、限界があるんだよ。全部なんて、チェックできやしないし、こっちの神経がもたない。自分に見えてる部分でさえ、いっぱいいっぱいなのに、見えない部分まで気にしはじめたら、とてもじゃないが」と管理人は、管理人道というものがあるかのように語る。
(Kindle位置:3,467)
管理なんて、そもそも限界がある。
だからこそ、「自分の目に見える部分」にだけ、手をうっておくのが一番の得策。
これは一見、”てきとう”な生き方に見えてしまいますが、実際には「処世術」としてとても良い教えではないでしょうか。
世の中を見渡しても、多くの人が悩んでいることって、「漠然とした将来の不安」とかでしょう。
つまり、具体化していない抽象的・曖昧な悩みを抱えているわけです。
だからこそ、そういった不安で悩みこむのではなく、
「目に見えない悩みなら、とりあえず放ってしまえ。」
そういった態度で、毅然として生きていくべし、ということですね。
サブキャラである管理人が語る”管理人道”に、グッと心を打たれました!
まとめ
今回は、伊坂幸太郎『AX アックス』の感想・名言をまとめてきました!
やはり、伊坂幸太郎さんは「名言を生み出す天才」だと心から感じています。
今回紹介した他にも、印象に残る名言は数多くありました。
名言を拾い上げるのもこの小説の楽しみの1つになると思います。
未読の方はぜひ、手にとって見てください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!