今回は、『入社1年目の教科書』について書いていきます。
皆さんは、本書を知っているでしょうか。
「上司が新入社員に読ませたい本」として毎年4月にランキングに出てくる人気本です。
内容はというとタイトル通り、「新入社員はこう行動すべき!」という内容が紹介されている本です。
先輩社員は「ぜひ若手の子たちはこの本を読んで、行動して欲しい!」と感じているわけですね。
この本を、私は入社数年目にしてようやく読みました。
まず感想を一言でまとめてしまうと、「勉強になることもあった。けど、”賛同できない部分”も多い。」といった感じでした。
新入社員の方の多くは、この本を読もうか迷っているのではないかと思います。
そこで、この本を読んだ1人の若手社員の目線から、
「勉強になったこと」&「それは違うような・・・。」と感じた箇所をそれぞれピックアップしてまとめていきます!
- 若手が守るべきルールや心構えを沢山学べる
- 勉強になる点も多いが、人によって部分的に納得できない箇所も多い本
- 見方として、「上司が若手に何を求めているのか?」という視点を学ぶにはピッタリ
【目次】
勉強になったこと4点
それでは初めに、『入社1年目の教科書』を読んで「特に勉強になったこと」を4点挙げます。
- 50点で構わないから早く出せ
- メールは結論から書け
- 議事録は時系列で書いてはNG
- 大きい仕事ほど、自分は小さくなることを忘れるな
順番に解説していきます!
50点で構わないから早く出せ
「仕事は50点でも良いから早く出すこと。」
若手社員の自分としても、これは本当に重要だと思います。
もしかしたら、新入社員の方は「えっ?そんな未完成なものを出していいいの・・・?」と感じることでしょう。
しかし、その考え方は変えるべきなんです。
数年間働いてきて体感しているのは、「若手社員の僕らが100点だと思って提出した仕事でも、上司からしたら30点のレベルである」ということです。
「おら、これでどうだ!言うことなし!」と思って上司に提出しても、沢山のダメ出しをくらうなんてことはザラにあります笑
だからこそ、完成前に途中で”何度も”上司にアドバイスをもらいながら仕事を進めるべきなんですね。
段階的に何度も確認をしてもらうことで、資料のやり直し箇所が少なくて済む、というメリットがあります。
そもそも忘れてはいけない事として、仕事において最も避けるべきは、「締め切り間際に提出したモノが、上司が意図していたものと全然違った。」ということなんですね。
「段階的に上司に聞く」とは言っても、やや抽象的なので・・・
おすすめの方法としては、最初の段階で「こんなイメージで資料作成しようとしているんですが、よろしいですか?」と上司に聞くことです!
私も日頃から、期限が1週間後の課題であっても、初日の午前中には「一旦、確認いただいて良いですか?」と、上司に確認のお願いするようにしています。
こうすることで、大きく方向がずれて突き進んでしまうこともないですし、早い段階で貴重なアドバイスをもらえることが沢山あります。
「50点でも良いから、早く出せ!」
このルールは意識していないとつい忘れてしまうので、習慣化するように工夫する必要があります!
メールは結論から書け
仕事で重要なこと2つ目は、「メールは結論から書け」というルールです。
この話は非常によく聞くと思います。
実際に就活をしているときも、
- 「面接での受け答えは、結論から話せ!」
- 「ESは、最初の1文で結論を言い切れ」
こんな指導を受け、実際にその通りにやってきた方は多いと思います。
これはビジネスの場でもやはり大切です。
就活で散々意識はするので、「結論から話す」を新人の段階で意識できている人は多いとは思います。
・・・しかし、危険なのが、「メール」なんです。
メールは文章をじっくり考えて送信する ”間” がある分、文章が長くなりがちなんですね。
だからこそ、メールは冒頭で”相手に何をして欲しいのか?”を書くべきなんです。
たとえば、メールの冒頭では以下のように書き始めるのをおすすめします。
- 「お疲れさまです、山田です。本日は、XXの資料を確認いただきたく、ご連絡いたしました。」
- 「お世話になっております。鈴木です。〇〇について、確認をさせてください。」
こんな感じで、メールでも冒頭で結論を言い切ることを、ぜひ意識してください!
自分も、入社した頃のメールを見返すと「要は何が言いたいメールなの・・・?」と、すぐに分からないものがあり、反省しています・・・笑
議事録は時系列で書いてはNG
続いて、仕事において重要なことは、「議事録は時系列で書いてはNG」です。
新人は、会議の「議事録作成」を任されることは多いと思います。
そんなとき、一生懸命みんなの発言を1から100まで全部PCに打ち込んで・・・。
とついやりがちですが、そんなことはしてはダメなんです!
議事録というのは、時系列で会議の流れを追うためのものではないんです。
「見た人が、結論やそれに至ったプロセスを理解できる」ものであるべきなんですね。
よって、ダラダラと時系列で書くのではなく、
- 「この会議で出た”結論”はなにか」
- 「それに至ったプロセス」を補足としてまとめる
というものであるべきなんです。
「メールは結論から書く」と似たアドバイスですが、これは、仕事において「結論ファースト」がいかに大事か、という証拠でもありますね。
ここで鍵になるのが、読みやすい議事録を書くには、「この会議の結論は何か?」を見逃せない、ということです。
議事録を端的にまとめる癖がつくことで、本質を見逃さない思考法を身につけることができる、というわけなんですね。
大きい仕事ほど、自分は小さくなることを忘れるな
仕事における重要なアドバイスとして4つ目が、「大きい仕事ほど、自分は小さくなる」です。
もう少し詳細に言うと、「大きい仕事は担当メンバーが多いため、自分が管理、経験できる仕事の範囲が狭くなってしまうことを忘れてはいけない」ということです。
新人は特に、仕事に憧れを持って入社するため、
「ビッグなプロジェクトにアサインされて、バリバリ働くぞ!!」
と意気込んで、大きな仕事を欲しがりがちですよね笑
大きい仕事も、勉強になることはもちろん多いです。
しかし、規模が小さい仕事のほうが”担当範囲が広く”なるため、新人にとっては学びが多いことが沢山あるんですね。
そもそも、若手のうちは担当する仕事を選べる機会そのものがあまりないかとは思いますが、それでも、「小さい仕事は、あなどってはいけない!」ということです。
納得できないこと2点
ここまでで、『入社一年目の教科書』を読んで、勉強になることをまとめてきました。
そこで今度は反対に、本書を読んで「それは納得はできない・・・。」と感じてしまったこと2点をまとめます。
- 本は速読するな
- 宴会芸は死ぬ気でやれ
本は速読するな
納得できなかったこと1つ目としては、「本は速読するな」です。
読書ブロガーをしている自分として、これには反対意見をどうしても述べたい!笑
まずは、なぜ著者は「速読が駄目」と主張するのか、その理由を引用します。
対話しているときに、自分の話を聞き流されたり無視されたりするのは、誰だって嫌なはずです。ゆったりと向き合って、じっくり何度も何度も読むべきだというのです。
(Kindle位置:843)
「自分の話を聞き流されるのは悔しいし悲しい。」
意見そのものは、わかります。
・・・しかし、その意見は対面での会話に限るのではないでしょうか。
「自分が書いた文章が誰かに斜め読みされている。」これは気持ちが良いものではないですが、一方で仕方のないことだと思うんですね。
書き手側ではなく「読み手」側から考えてみると、「いかに短時間で良い情報をゲットできるか」ということが重要になります。
本というのは「玉石混交」で、「自分にとって宝となる本もあれば、学びが少ない本も沢山ある」ということは忘れてはいけません。
よって、その”宝”を少しでも多く見つけるためには、「学びが少ないと感じた本は、読むスピードを上げる」という戦略は正しいと自信を持って言えます!
速読については賛否両論ありますが、個人的には上記の理由から「速読は賛成派」です。
人生は短いからこそ、限りある時間を少しでも有効なものに多く使うべきだと強く思っています!
再度まとめると、「速読はすべき!」というのが個人的な意見です。
ただし、全ての本を速く読むのではなく、「情報の密度によって、緩急をつけて読むこと。」
これが読書において、一番有効な戦略だと自信をもっています。
宴会芸は死ぬ気でやれ
もう1つ本書で賛同できなかった意見は、「宴会芸は死ぬ気でやれ」です。
・・・これはどうなんですか?笑
著者は、以下のように言っていました。
「宴会芸は単なる芸の話ではない。チームワークや勝負強さを試されていると思うべきだ。」
宴会芸について、中堅以上の社員の多くは「宴会芸はやるべき!」と言います。
しかし、若手社員の大半は「宴会芸なんて強制される会社は、今の時代終わっている。」と感じているように思います。
そして私自身、「宴会芸ができない奴は、立派になれない」なんて本気で言っている組織は、あまり好きではありません。
これは、「考え方が古くて嫌だな・・・」という感情的な反感が1つの理由です。
また、理論的な反論としては、「上司が、新人に宴会芸をやらせる」という構図が、「弱いものいじめ」という構図に見えるからです。
宴会芸をやらせる上司は、「俺も若いときは、芸をやってここまで成功してきた。芸をやれないやつは伸びないぞ。」
こう考えているのではないでしょうか。
今の時代は価値観が多様化しており、定時に帰る人や、週3回しか勤務しない人など、色々な考え方が容認されてきているわけです。
そして、それぞれの働き方・生き方で活躍しているわけですよね。
だからこそ、宴会芸も「宴会で盛り上げるのが好き!」という価値観を持った人だけがやるべきで、更に言うと、それは上司・部下問わずに、「芸をやりたい人がやる」べきだと思うんです。
散々書きましたが、宴会芸を強制する会社、宴会芸を全力でできない若手は出世させない、という会社を見ると、「閉じた世界」「権力で立場の弱いものをいじめる組織」を見ているようで、ゾッとしてきます・・・。
宴会芸というのは、楽しんでいる人が一定数いる一方で、強制されることで大きなストレスを受ける人、会社への愛着心が薄れる人がいる。
この事実も忘れてはいけないと思っています!
まとめ
今回は、『入社1年目の教科書』から、特に勉強になった点と、ちょっと賛同できない、という点をそれぞれまとめてきました。
- 若手が守るべきルールや心構えを沢山学べる
- 勉強になる点も多いが、人によって部分的に納得できない箇所も多い本
- 見方として、「上司が若手に何を求めているのか?」という視点を学ぶにはピッタリ
全体としてサクサクと読みやすく、社会人としての振る舞いを考えるうえで、必ずや勉強になる本だと思います!
また、この本が「新入社員に人気!」という本ではなく、「上司が部下に読ませたい」本である、という点も重要だと思います。
世の中の上司の多くが、「若手社員に何を求めているのか」。
それを知るのにとても良質な本だと思いますよ!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!