【戦略は、静止画ではなくストーリーで捉える】『ストーリーとしての競争戦略』

「戦略は、静止画ではなくストーリーで捉えろ!」

そんな名言を残してくれていたのが、下記の本です。

『ストーリーとしての競争戦略』(画像クリックでAmazonのページにジャンプします)

 

「楠木建さん」の『ストーリーとしての競争戦略』

実に500ページ以上もある分厚い本ながら、30万部以上売れている、戦略論の名著です。

 

今回は、本書をじっくり読んで学んだ、「戦略をストーリーとして考える」ことの重要性を、復習も兼ねてまとめていきます。

 

この記事のまとめ
  1. 戦略はストーリーとして考えるべし!
  2. 戦略を箇条書きで考えるのはラクだが、そこには繋がりが生まれない
  3. ストーリーがしっかりできている戦略は、他社にも模倣されにくく頑強である

 

戦略は”ストーリー”で考える

「戦略はストーリーで考えろ!」

これが、本書の結論です。

 

ストーリーで考えろとはどういうことか。

 

たとえば、「A1とA2いう施策を実行すると、Bという事象が起こる。すると、Cとなるため、結果的にDとなる。」というように、

因果関係が次々に繋がっていくことを狙って、取るべきアクションを考えることです。

 

スターバックスのコンセプト

本書ではその一例として、コーヒーチェーン「スターバックス」の例が紹介されていました。

スターバックス(以下、スタバ)はどこの店舗でも非常に人が多く、大人気なイメージがあると思います。

 

スタバがこれだけ人気なのは、ただ「コーヒーが美味しいから」とか、「おしゃれだから。」という理由だけではありません。

そこには、緻密に考えられた「ストーリー」があるんですね。

 

たとえば、スタバは他のカフェと違って、「ゆっくりと落ち着ける場所・友人と楽しく喋る場所」という印象があると思います。

これは、スタバのコンセプトが「第三の場所を提供する」ことだからです。

第三の場所とは、「家でも職場でもない、もう1つの落ち着ける場所」という意味で、つまり、「ホット一息できる場所を提供しますよ。」というコンセプトを持っているんですね。

(参考:https://www.starbucks.co.jp/company/

 

スターバックスが「第三の場所」として成功したのは、ストーリーがあったからこそ

このように、スタバは「第三の場所」になる、という方針で店舗を作っていきました。

ここで、第三の場所になるために、スタバはどうしたのか。

以下のような作戦をおこなったんですね。

 

【スタバのアクション】

  1. フランチャイズ形式には”しない”
  2. 食事メニューは少なくする

 

1についてですが、コーヒーチェーン店は通常、フランチャイズ形式です。

つまり、お店の看板を借りて、それぞれの店長が自主責任で売上を管理する形式となっているんですね。

 

スタバはあえてこのフランチャイズ形式を取らなかった。

その理由が、「フランチャイズ形式だと、店長が売上を気にして、回転率をあげようとしてしまうから。」です。

 

第三の場所として提供したいのに、店長が回転率を気にしていると、お客さんは落ち着いてゆっくり過ごすことができなくなる。

それを防ぐためにスタバは、コストが高くても、フランチャイズ形式にはせずに、本社経営でお店を展開していきました。

 

2については、「パスタとかの食事メニューを揃えると、一体何が起きるか?」と考えてみると、その意図がわかります。

さくっと食事をして退店するような忙しいお客さんが増えてしまうんですね。

第三の場所として成功するには、「お客さん一人ひとりがゆっくりと過ごしてもらえるようにすること」が何よりも重要ポイントになります。

 

スターバックスのストーリーまとめ

つまり、スターバックスは以下のようにストーリーを考えた、ということです。

 

【スタバのストーリー】

目的:「第三の場所」を提供する

手段:「フランチャイズはせず、食事も極力少なくする」

 

<ストーリー>

→ 本社経営なので、店長は売上を過度に気にしない。また、食事が少ないことで、飲み物でゆっくりしたい人が来店する。

→ すると、お店の回転率が下がる。

→ お店の回転率が下がれば、新しく来たお客さんも、「この店は堂々とゆっくり過ごせる」という印象を受ける。

→ 「第三の場所」として認知され、他のカフェとは差別化することができる。

 

スタバのコンセプトを知らない人でも、「なんかスタバってゆっくりできるよな~。」と感じているはずです。

そこには、このようなスタバの狙い・ストーリーがあったんですね。

 

箇条書きで考えると、静止画的な思考に陥る

ここまででストーリーとして戦略を考える重要性をまとめてきました。

しかし、ストーリーを考える重要性がわかっても、キレイなストーリーが浮かびにくいと感じる人も多いと思います。

 

その理由の1つが、「アクションを箇条書きで考えてしまっていること」なんですね。

 

たとえば、スタバの例でいうと、「第三の場所を作る」という目的にたいして、戦略を「箇条書き」で考えてみます。

【第三の場所を提供するための「箇条書き」アクションの例】

  • 長居してもらえるように、「コーヒーおかわり無料」キャンペーンをおこなう
  • 各店舗に対して、「回転率を下げること」を一つの目標として課す

 

これでは、「なんだか冴えない、つまらない戦略だ、、。」と感じてしまうのではないでしょうか。

これでは「項目ごとのアクションリスト」にすぎません。そうした戦略の構成要素が、どのようにつながって、全体としてどのように動き、その結果、何が起こるのか。戦略全体の「動き」と「流れ」が、さっぱりわからないのです。戦略が「静止画」にとどまっているといってもよいでしょう。

(Kindle位置:67)

 

ストーリーができていると、他社は簡単に模倣ができない

さらにストーリーで考える強みとして、「他社が簡単には模倣できない」ということも挙げられます。

 

たとえば、スタバの成功例を見た別のコーヒーチェーン店が、「よし、俺らも食事メニューを減らしてゆっくりしてもらおう」と考えたとします。

 

しかし、ただ食事メニューが減った店になるだけでは、お客さんから「これまでより不便になった。」と感じられるのがオチです。

スタバは「フランチャイズではないこと」「食事メニューが少ないこと」の合わせ技で、初めて目的に繋がるように戦略ストーリーを打ちたたているわけですね。

 

このように、外から見て模倣するだけでは、部分部分のアクションを取り入れることしかできません。

ストーリーとして流れががっちりとできていると、他社はそれを完璧に真似ることはほぼ不可能なんですね。

これが、ストーリーとして戦略を考えることの、もう一つの強みであると言えます。

 

まとめ

今回は、戦略をストーリーで考えることの重要性をまとめてきました。

著者の楠木建さんは、「ストーリーがしっかりしている戦略は、聞いていて”ワクワクする”んだ。」と述べています。

 

逆に言えば、聞いていてワクワクしないような戦略は、ストーリー化が未熟であり、因果関係に不自然さがある、ということなんだと思います。

 

ここで学んだ「ストーリーで考える」という技術は、組織の経営者にとってのものだけではなく、「個人レベル」でも、仕事で戦略を立てるうえで非常に重要になってくるものだと思います。

優秀な人ほど、「仕事の1つ1つを繋がりとして捉えている」と言うことがありますが、それはこの「ストーリー化」ができているか?ということなんだろうと強く感じました!

 

この記事のまとめ
  1. 戦略はストーリーとして考えるべし!
  2. 戦略を箇条書きで考えるのはラクだが、そこには繋がりが生まれない
  3. ストーリーがしっかりできている戦略は、他社にも模倣されにくく頑強である

 

『ストーリーとしての競争戦略』(画像クリックでAmazonのページにジャンプします)

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 

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