こんにちは読書ブロガーのネルです!
今回は、「有名なピサの斜塔での実験は嘘だった!?」というテーマで話をまとめていきます!
中学校の授業で習う「ピサの斜塔の実験」。
ガリレオ・ガリレイはこの実験によって、
「モノの落下するスピードは、重さに関わらず”一定”である。」
ということを証明したと言われていますよね。
・・・しかし、「この実験は実際にはおこなわれていなかった」と聞いたら、びっくりしませんか!?
今回は、そんな話をしていきます。
参考にした本は、 小坂井 敏晶『社会心理学講義:〈閉ざされた社会〉と〈開かれた社会〉』です!
- ガリレオ・ガリレイは実際には「ピサの斜塔実験」は”していない”
- この結果は「思考実験」により導いたもの
- 頭の中だけで積み上げた理論でも、それが明確に正しければ、人を動かすことも可能
それでは、順番にポイントをまとめていきます!
ガリレオ・ガリレイの「ピサの斜塔実験」
改めて、「ピサの斜塔実験」について、簡単にまとめてみます。
ガリレオ・ガリレイの「ピサの斜塔実験」とは、イタリアにある「ピサの斜塔」の高層階から、重い物体と軽い物体を ”同時に落下” させる実験です。
実験の目的は、「思い物体も軽い物体も、同時に地面に到達する」ということを証明するためですね。
なぜ、こんな実験がおこなわれたのか?
それまでの時代では、「重い物体の方が地面に早く落ちる」と世界で強く信じられていたんです。
(※実は、宇宙のように”真空”でない場合は正しいのですが、それはまた後ほど解説します。)
たしかに、感覚的には「重い物体のほうが、なんか早く落ちそう」というのはわからないでもないです。
そこでガリレオは、ピサの斜塔から「重さの違う2つの物」を落とすことで、「重さが違うのに、同時に落下した!」ということを証明したのだと”言われて”います。
これが、「ピサの斜塔の実験」です。
・・・ですが、「実は、この実験がされたという話は嘘である」と聞いたら、びっくりしませんか!?
このピサの斜塔実験は実際には実施されていない。この話は、その時代の人の”捏造”だと言うのです!
実際には”思考実験”だった!?
実際に、ガリレオ・ガリレイの論文を見ても、「思考実験」の方法だけが解説されていて、実験結果には全く触れられていないのだそう。
思考実験とは、「モノを実際に使うことなく、頭の中だけで想像して実験すること」を指します。
いかにも頭が良い人が得意そうな方法ですよね(笑)
ガリレオが実施した思考実験が以下のとおりです。
【ガリレオの思考実験】
ガリレオは、順番にこんな風に考えていきました。
- もし仮に、「重い物体が速く落ちる」なら、10kgと1kgの物体を同時に落とすと、10kgの方が速く落ちるはずである
- そこで、この2つの物体を ”紐で結んで11kgの物体として落とした場合” を考える
- この物体を落下させると、10kgの速い落下に対して、落下が遅い1kgの物体がブレーキをかけることになる
- すると、この紐で作った11kgの物体は10kg単体の時よりは遅く、1kg単体の時よりは早く落ちるはず
- しかし、あくまでこの物体は11kgなので、10kg単体よりも速く落ちなければ、「重い物体が早く落ちる」というルールに反する
- よって、④と⑤により論理的な矛盾となり、「重い物体ほど速く落ちる」という説は誤りである
上から順番にゆっくり読んでいくと、「た、たしかに、、。」となる話ではないでしょうか?
こうした”思考実験”をおこない、ガリレオは「重い物体も軽い物体も、地面に落下するスピードは同じだよね。」ということを証明したわけです。
その後、この話が人から人へどんどん”誇張して”伝えられていったために、いつの間にか、「ガリレオは、ピサの斜塔からものを落とす実験をしたらしい。」ということになったのだと推測できます。
当時は真空状態で物体を落下させる方法がなかった
このガリレオの思考実験は確かに正しいことのように思えますが、なぜ実際にその条件で実験を行わなかったのでしょうか。
それは、「ガリレオが生きていた当時は、真空状態でモノを落下させる手段がなかったから」なんです!
実は、空気のあるところで物体を落とすと、軽いものは空気抵抗の影響を大きく受けることになるので、重い物体の方が速く落ちることになります。
この事実があったことにより、ガリレオは実際の実験を行えず、思考実験だけで反論したということなんです。
ガリレイは、このような思弁のみによって最後まで反駁したのであり、実験結果は一度たりとも議論に登場しない。それに、ガリレイの反論が発表される以前に、実際に実験を行った学者は何人もいました。そして結果はアリストテレスの説く通り、重い物体の方が軽い物体よりも先に落下したのです。空気抵抗があるからです。その当時、真空状態で長い距離を落下させる方法はなかった。だから、ガリレイが実験をしなかったのは当然です。
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その後、人類が月に到達できるようになった1900年代になって始めて、月でこの実験が行われ、「ガリレオの思考実験はたしかに正しいよね。」ということが改めて確認されたと言います。
思考だけでも論理的に答えを導ける
今回はなぜ、この話をわざわざ取り上げたかというと、「思考だけで、論理的に1つの意見に反論できている」という点が、とても面白いと感じたからです。
ガリレオが登場する前は、「重い物体の方が速く落ちる」という考え方は、当然の事実として知れ渡っていました。
実際に感覚的にもそうですもんね。
しかし、ガリレオはこの説に対し、「思考」だけで論理を積み重ね、反論をしたわけです。
そして、この話を聞いた人は、「確かに、、。」とならざるを得ず、実際に実験を行っていなくても、多くの人を納得させることに成功したんです。
「頭の中だけで考えず、手を動かさないと何も始まらない」という意見も中にはあり、それもある意味では正しいと思います。
しかし、ガリレオのように、「頭の中だけで積み上げた論理」で人を動かすことも十分に可能だと言える、ということなんです。
今回紹介した話から、このような重要なことを感じました。
科学者たちが一生懸命実験をし、こういう結論を出して、、。とやっているところに、突然、
「でも、〇〇と考えていくと、論理的に~~となるよね?」
とズバッと言って、科学者たちをあっという間に納得させてしまう。
とんでもなくスッキリとする話ではないでしょうか。
「人に物を教えることはできない。自ら気づく手助けができるだけだ。」
(ガリレオ・ガリレイの名言)
まとめ
今回は、『社会心理学講義:〈閉ざされた社会〉と〈開かれた社会〉』より、「有名なピサの斜塔での実験は嘘!」というテーマで話をまとめていきました!
正しく思考を重ねて相手に伝えれば、相手を簡単に納得させることができる良い例だと思います。
- ガリレオ・ガリレイは実際には「ピサの斜塔実験」は”していない”
- この結果は「思考実験」により導いたもの
- 頭の中だけで積み上げた理論でも、それが明確に正しければ、人を動かすことも可能
今回の話が紹介されていた上記の本『社会心理学講義』は、とても論理的で、読み応えが非常にあります!
個人的に、「”頭を鍛えてくれる本”というのは、まさにこれだ!」と感じるような内容になっています。
「じっくりと論理的な文章に向き合ってみたい」という方には、強く、強く、心からおすすめしますよ!
内容が濃い分、私は既に3回以上読み直しをしています。
気になる方はぜひ手にとって見てください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!