「わからなければ質問しろ、質問しないほうが悪い」という上司の”ズルさ”

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居酒屋のアルバイト店員をしていたときのこと。

店長がよく、バイトメンバーに次のようなことを言っていました。

「指示をノートに書いておくから、何かわからないことがあれば必ず聞いてください。知りませんでしたはやめてください。」

 

人によっては、一見良さそうな店長に思えるかもしれません。

ただし、この店長は「怒るとかなり怖いタイプの人」。周りから常に恐れられていました

 

そんな状況から先程の発言を受けて、私は「言っていることは正しいけど、なんか”ずるい”よな・・・」と強い違和感を抱いていました。

今回は、ある本を読んでこの発言についての気付きを得たので、まとめてみたいと思います!

 

同じような違和感を覚えた方がいれば、この記事から何か気づきを得てくだされば嬉しいです。

 

「わからなければ、聞いてください。」というズルさ

「分からなければ、聞いてください。」

これを上司から言われたとして、どうなるか。

部下の気持ちに立って、想像してみてください。

 

ほとんどが、

  • 「基本的なことを聞いたら、怒られそう。」
  • 「どうせずれたことを確認したら、呆れられんだろうな・・・。」

こう感じるのではないでしょうか。

 

そこで結局、分かったふりをしてやり過ごす、ということが簡単に想像つきます

 

この部下の気持ちをよく考えず、「わからなかったら、聞けよ。」という方。

今度は「上司側の目線」になって考えてみると、これは”ずるい”ことだと思うんですね。

 

「聞かなかったお前が悪い。」という攻撃の準備

上司側の目線でこの発言を考えてみましょう。

「わからなかったら、聞いてください。」というのは、どういう理由なのか。

 

それは、「俺は、事前に質問しろよと言った。」→「それなのに、何も聞かなかったお前が悪い。」という攻撃のため・責任の逃れのための事前準備だと思うんですね。

つまり、これはズルさであり、怠慢である、と感じてしまいます。

 

通常、部下が大事な情報を把握していないのは、その上司に責任が問われますよね。

すると、上司は「俺は部下に対して説明責任を果たした」という立場を取る必要があります

 

その説明責任を果たしたんだ、という証明のために、「わからなかったら、聞いてください。」という言葉が出てくると感じるんです。

 

上司が問われる役割

ここまでまとめると、「分からなかったら聞いてください。」というのは、上司の説明責任逃れである、という話をしました。

だって、これを言われたところで部下は、「いや、そう言っても、簡単には質問できないよ・・・」と感じるのが大半だからです。

 

そうすると、今度は上司側として、「じゃあ、俺はどうすれば良いんだ!」という意見がでるかもしれません。

そこで私が考える上司の正しい発言・態度は以下の2点だと思うんですね。

上司に求められる役割
  1. 質問せずとも、最初からわかるよう丁寧に説明する
  2. 部下が質問しやすいような土壌をつくる

 

質問せずとも、最初からわかるよう丁寧に説明する

「分からなければ質問しろ。」という言葉を日頃から使っていると、上司はどうなるか。

説明のレベルを下げてしまいやすいんですね。

だって、疑問点があれば、(本来は)質問が来るんだから。

 

そもそも上司は、部下にわかるように説明する義務がある。

それは、まずは上司側が努力して、部下のレベルにある程度合わせる必要があると思うんです。

 

よって、最初の説明の段階で、わかるように丁寧に説明をする。

本当の意味で部下からが質問が来ないようにアナウンスする、というのが正しいあり方だと思います。

 

部下が質問しやすいような土壌をつくる

次に、「部下が質問しやすいような土壌をつくる」というのも重要です。

こちらから丁寧な説明をしても、どうしても聞き手は多少の疑問点は浮かんでくるもの。

そんな際に、気軽に質問できる雰囲気があるかどうか、という点が、きちんと情報伝達をするうえで鍵となります。

 

それには、①こちらから基本的なことを確認し、②誰かが質問したらどんな内容でも歓迎する、という態度が重要です。

 

【例】

①「念の為、〇〇のことって、わかる?」

②「質問ありがとう。たしかに、こちらの説明不足だった。」

 

というようなイメージです。

 

こうしたことを上司が積極的にやっていくことで、部下は疑問点があったら素直に確認が取れる。

だいたい、誰か1人でも疑問を抱いていたら、他の人も何人か同じような疑問を持っているものです。

よって、質問しやすい土壌さえきちんとでいれば、情報の伝達は数段正確になる、というわけなんです。

 

結局、相手の立場に立つことが大切

結局は、相手の立場に立って考えることが重要だということです。

てきとうに説明して、わからないならお前が悪いんだからちゃんと聞けよ、なんて、自分本位でしか物事を考えられていない証拠です。

 

自分が同じようなことを上司、特に厳し目の上司にやられたらどうなるか。

そういう目線で考えていけば、解決する問題だと思うんです。

 

「何でも言っていいのに、言わないほうが悪いんだよ」というのは、強者の無神経な論理にすぎない。それはボクサーが素人相手に「好きなように殴っていいんだよ。僕も好きなように殴るから」と言うようなものだ。これは対等とは言えない。

『考えるとはどういうことか 0歳から100歳までの哲学入門 (幻冬舎新書)』(Kindle位置: 775)

今回の記事は、この文章を読んではっと思いついた記事でした!

「分からなければ質問しろ。」というのが口癖になっている上司、そういう言い方に苦しめられている部下の方々に、この記事が響いてくれると嬉しいです!

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

2 件のコメント

  • その通りだと思いますが、そういう上司ほど変わらないし、対等に考えたいとも思ってないから、解決は難しいですね。

    • ばりーさん、コメントありがとうございます。
      本当にそうですね、、。
      「部下・目下の者の立場に立ったらどうだろう?」と考えられる上司が増えてくれることを祈っております・・・!

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