会社の人事面談や、就職面接で、次のことを聞かれる場面は多いと思います。
「今、スキルアップのために何か取り組んでいますか?」
このとき、以下の2人でどちらがウケが良いと思いますか・・・?
A:「はい、毎日1時間読書して、仕事に関するあらゆる知識を深めています。」
B:「はい、〇〇という資格取得に向け、勉強に励んでいます。」
おそらく、「Bさん」の”ウケ”が良いのではないでしょうか。
このスキルアップに対する、読書と資格取得にについて、考えさせられることがあったのでまとめていってみます!
- 資格も読書も、結果を出すための「手段」に過ぎない
- 資格は「証」が得られるため、直接評価されやすい
- 読書は長期的・資格は短期的な「リターン」が狙える。並行させるのがコツ
今回参考にしたのは、以下の本です。
【目次】
資格取得も読書も手段に過ぎないが・・・
まず前提として、資格も読書も、共通点があります。
それは、どちらも「結果を出すための、手段であること」です。
資格を取ったから偉い、とか、100冊読んだから昇進するとか、そんなことではないんです。
周りが求めているのは、「じゃあ、そのインプットした知識で、結局あなたは何をしてくれるの?」ということですよね。
特に、資格取得に一生懸命になりすぎると、この点を見失いがちです。
「この難関資格に合格したら、すぐに自分に大きな変化が現れる」と思ったら、それは大きな誤りです。
これは読書も同じで、「この名著をすべて読んだら、一気に仕事ができるようになる」ということもありません。
・・・しかし、実際には、「資格取得」のほうが会社では評価されやすい、そう感じています。
それはなぜかと考えてみた時に、以下のことだと気づきました。
「資格は、勉強した証が明確に得られるから。」
これが、資格取得と読書の一番大きな違いなんですよね。
資格は勉強した「証」が得られるため、周囲が評価しやすい
資格は、明確に「合格」したという証が得られるのが大きな特徴です。
これはつまり、「〇〇という分野について、このぐらいのレベルなら習得済みだと保証されていますよ。」という状態を得たことになります。
そのため、周りも評価がしやすいんですね。
「彼はきちんと勉強をしているね。だから、合格することができたんだね。」と。
実際にその人の仕事レベルが変わっていなくても、資格を持つ前と後で、ある程度良い印象を持たれると思います。
しかし、読書には、この「〇〇をしたことを保証する」という証がないんですね。
なぜ証がないのかというと、それを保証する試験がないからです。
資格は、「この分野をこれだけ勉強すれば良い」という範囲が限られているのが特徴です。
しかし読書では、仕事やプライベートに役立ちそうなもの等、あらゆるジャンルで知識を深めていくことになります。
そのように、ジャンルが多岐に渡りすぎているため、読書で学んだことを試験で判定するのは不可能なんですね。
短期では資格が有利だが、長期だと読書が勝る
ここまでで、「資格は『証』を得られるため、周りから評価されやすい」ということをまとめてきました。
ただし、この記事でお伝えしたいのは、「だから資格を取る方が良いよ。」ということではありません。
むしろ、「読書という行為は軽く扱われがちだけど、長期的に見ると続けたほうが良い」と、伝えたいのです。
スキルアップとして資格のための勉強をすることで、専門的な知識を体系立てて学べることになります。
そのため短期的に見ると、それが活きる場面は確かに多いでしょう。
一方で、読書についてはどうか。
読書については、その”学習範囲が限定されていない”分、すぐには読書の効果は現れにくいのが普通です。
しかし、普段から「歴史書」「人間行動学」「生物学」「ロジカルシンキング」などを読書で学び、それを日常の場面で少しずつ、ふとしたときに活用できるようになったとします。
すると、じわじわとその人の実力が上がっているのを、本人も周囲の人も気づくことになるでしょう。
そして、読書で学んだスキルは学習分野が資格ほど限定されていないことが多いですよね。
そのため、仕事内容が変わっても、役職が変わっても、読書で得た知識・思考は長期的にずっと生き続けるようになる、そう強く思います。
つまり、以下のことが言いたいんです。
「資格取得は短期的にすぐに効果を発揮し、読書は長期的にじわじわと効果を発揮する」
この回収期間が短期なのか長期なのか、という違いを意識しておくべきだな、と最近強く思いました。
ただし、読書で得た知識は、「抽象化」が必要になる
「読書は長期的にじわじわと効果が出る」とまとめました。
しかし、だからといって、「闇雲に読書で知識を集めておけば良い」というものでもありません。
これが読書の難しいことでもあると思うのですが、読書で得た知識を、「抽象化して、頭の中にしまっておく。」ということが重要になってくるのです。
たとえば、有名な話ですが、「働きアリの法則」というものがありますよね。
これは、「アリは集団の中で、2割は真面目に働き、6割は普通に働き、残り2割は仕事をサボる」傾向にあることを指した法則です。
そして、面白いことに、「このサボるアリたちは、アリ社会が危機に陥ったときに、大活躍をする」ということがわかっているそうです。
これを「生物学の本」であなたが読んだとしましょう。
そのときに、「へ~、アリってそんな性質があるんか。」と捉えるのか、「これって、人間の組織でもけっこう当てはまるよな。」と抽象化できるか、このどちらかで、読書の効用は全く違うものになってくるんですね。
「抽象化」を行わずに本を読んでいると、どういうことになるでしょう? 単なる「物知り」になるだけです。 皆さんの周りにも、そういう人がいるのではないでしょうか。たくさん本を読んでいるし、さまざまな分野についての知識をひけらかして悦に入っているのに、仕事や生き様ということになると今ひとつ……という人
(『読書を仕事につなげる技術』 Kindle位置:1,011)
読書で長期的なリターンを得るためには、この「抽象化スキル」が重要になってくることを忘れてはいけないんですね。
資格勉強でスキルを得ながら、読書で長期の勉強をおこなう
ここまでで、資格取得が短期、読書が長期で役に立つことはまとめてきました。
では、結局どちらを優先すべきなのか?と考えると、答えは「どちらもやるべき」だと強く思っています。
長期で効果が現れる読書は、毎日30分など日々の習慣として取り入れていく。
また、読む本のジャンルは特に縛らず、「興味をもった本」を読むのが良いと思っています。
その際に興味を持って学んだ分野がふとした時に活躍する、というのはよく聞く話ですよね。
一方で、資格取得も積極的におこなっていくべきだと思っています。
資格についてはその性質上、「今取り組んでいる仕事」に関する資格を順次取得していくことがベストだと思います。
専門的な知識を学べる分、資格のために勉強→仕事で即活用、という良い循環が起こるからです。
また、無事資格を得ることができれば、前述のように、周囲から評価されやすい、ということがあります。
どちらかに偏ってしまう罠
資格勉強をしていてよく思うのが、資格は明確な「合格」というゴールがある分、ある意味勉強が「楽」なんですね。
ゴールが明確だと、自分がどこまで頑張ればよいか確認しやすいからです。
そして、無事合格できれば嬉しいし、周りからも褒めてもらえますよね。
しかし、資格取得に集中しすぎると、いわゆる「資格厨」になる危険があります。
資格厨とは、資格をとにかく大量にとり、それで安心している人のことを指します。
これでは、短期的なこと・実用的な知識しか増やすことができず、いずれ活躍できるフィールドが狭まっていくように思います。
「あいつは、実務はできるけど、人をうまく動かす『人間力』の部分で何かが欠けているよな・・・。」
こう思われてしまったら、悲しいですよね。。
また、読書だけに偏るのも危険だと思っています。
読書で知識・思考力が養われても、技術的なことができなければ、周りからは評価されないという現実もあります。
「あいつは色んな知識があるしロジカルなんだけど、いざ実務となると、あまりできないよな・・・。」
そう思われてしまう危険が大いにあります。
このように、読書と資格取得、どちらかに偏ってしまうことにはよく注意が必要だと考えています。
まとめ
今回は、仕事のスキルアップとして「読書」か「資格取得」かどちらが合っているか、2つの特徴から比較をしてみました。
- 資格ばかりでは、短期的なスキルがつくだけで長期的なスキル・人間力が身につかない。
- 読書ばかりでは、長期的なスキルがじわじわ身につくだけで、仕事で活きるのは非常に時間がかかる。
こういった特徴を意識しながら、読書と資格勉強、2つを並行していくのがベストだというのが、今の私自身の答えです!
- 資格も読書も、結果を出すための「手段」に過ぎない
- 資格は「証」が得られるため、直接評価されやすい
- 読書は長期的・資格は短期的な「リターン」が狙える。並行させるのがコツ
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!